相続税の申告期限の延長
1 相続税の申告期限
相続によって、被相続人(=亡くなった方)の財産を承継した場合、金額によっては相続税の申告及び納付を行わなければなりません。
そして、相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内にしなければならないとされています。
「相続の開始を知った日」とは、被相続人が亡くなったことを知った日です。
2 相続税の申告期限は延長できるか
⑴ 10か月の期限は長い?短い?
相続税の申告期限について、10か月後と聞くと、余裕があるように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、親族が亡くなった直後は、役所の手続きや葬儀等でバタバタしてしまうこともあるでしょうし、被相続人にどのような財産があったのかを把握していない場合には、どのような財産があったのか調べるところから始めなければなりません。
したがって、10か月という期間は、思いのほか短いと感じられる方が多いです。
⑵ 申告期限の延長
10か月の期限に間に合わない場合、相続税の申告期限の延長をすることはできるのでしょうか。
結論から言うと、申告期限の延長は、原則としてできません。
ただし、災害等のやむを得ない理由が認められれば、その理由がやんだ日から2か月の範囲内で、相続税の申告期限の延長が認められることがあります。
最近でいえば、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、相続人がコロナに感染した、あるいは税理士がコロナに感染したなどの理由で、申告期限に間に合わない場合、申告期限の延長を認める運用が国税庁から発表されたこともありました。
現在は、新型コロナ感染症を理由とした延長申請は難しいと言われています。
また、令和6年1月の能登地震においても、申告期限を延長することが発表されました(令和6年1月12日時点)。
※最新の情報については国税庁のホームページをご参照ください。
⑶ 申告期限を延長する方法
申告期限を延長するためには、税務署に対して「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出しなければなりません。
参考リンク:国税庁・災害による申告、納付等の期限延長申請
ただし、これを提出したとしても、理由の内容によっては、税務署の判断で、延長が認められない可能性もあり得ます。
したがって、申告期限の延長をしなくてもよいように、早めに相続税申告の準備を進めることが大切です。